航路標識の話

9. 航路標識のはたらき

 広い海を走っている船が、航路標識をどのように利用しているのか説明しましょう。
 船は、前にもお話したように、海図という海の地図をもっています。海図には海の深さが書いてありますし、暗しょうや浅瀬や沈没した船がある危険なところ、航路など、船にとって必要なことがくわしくでています。中でも、航路標識は船の位置を正確に知るために大切ですから、その性質がわかるような記号であらわしてあります。
 また、航路標識のくわしいことを知るためには灯台表という本があります。

 

海図の一部 水路図誌複製(海上保安庁承認第030323号)

 

 海図や灯台表は、海上保安庁海洋情報部というところで出しています。
 船は、海図をみて危険なところに近づかないように、そして、もっとも短いコースになるように走っているので、今、自分の船が海図の上でどの位置にいるのか、たえずたしかめています。
 大洋のまん中を走っているときは、昔から太陽や夜空の星をたよりにしてきましたが、くもりの日には利用できません。


 二つ以上の灯台が同時に見えれば、船は、それぞれの灯台の方角がくをはかって、それを海図に記入して位置を知ることができます。

 

船の位置のはかりかた

 

 陸地に近くなると、船は危険なところをさけて通らなければなりませんし、航路がきめられているところでは、この航路からはずれないようにしなければならないので、航路標識が頼たよりとなります。
 それで、灯台は夜だけでなく昼間も目標にしますから、船からよく見えるように白色になっていますが、雪の深い北国の灯台や、海のまん中の小島の上に立っている灯台は、白では目め立だたないので、赤と白、または黒と白の横しまに、塗りわけるなどしてあります。

石狩灯台

 

 また、灯標や灯浮標などは、形、色、光り方で、その標識の右を通れば安全とか、近づいてはいけないとか、わかるようになっています。

明石海峡航路中央第一号灯浮標

(航路の中央を示していいる)

 

 また、船は安全なコースであれば自由に走ってよいのではなく、いろいろな海上交通の規則にしたがっています。狭い湾内や海峡では、船どうしが衝突しないように、そして、潮流に流されないようにするために、船舶通航信号所や潮流信号所の信号を見て判断します。
 そのほか、主要な場所にある灯台などでは、その付近の風向、風速などを観測し、インターネットやテレホンサービスでお知らせしています。(海の安全情報)

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