航路標識の話

8. そのほかの標識

船舶通航信号所

伊勢湾海上交通センター(愛知県)

 最近は船の数や種類が多くなり、速い船、おそい船、あるいは小さな船、大きな船が港の入口や狭せまい海峡を走っており、しょうとつの危険がいっぱいあります。
 このような場所では自分の位置だけでなく、ほかの船の動きも知って、その中で安全に走らなければなりません。
 船舶通航信号所では、レーダーやテレビカメラで多くの船の動きをとらえ、危険物を積んでいる船の動きや航路近くの工事のことなどをそれぞれの船に伝え、また、他の船のじゃまになりそうな運航をしている船や、衝突つしそうな船があったら無線電話で注意し、みんなが安全に走れるようにしています。
 また、最近ではレーダーではとらえられない島かげなどの船の名前や位置、進路、目的地などが簡単にわかり、船同士の衝突を防止するAIS(船舶自動識別装置)という装置が開発され、ある大きさ以上の船は必ず積まなければならないことになっています。
 船舶通航信号所では、陸上に設置したAIS局から気象の状況や船が浅あさ瀬せなどに乗りあげないようにAISを積んだ船に対してメッセージを送り、船が安全に走れるようにしています。
 船舶通航信号所のうち、船の往来のはげしい東京湾の浦賀水道等、伊勢湾の伊良湖水道、名古屋港、瀬戸内海の明石海峡、備讃瀬戸、来島海峡、本州と九州の間にある関門海峡で、大型船舶の航路入航間隔の調整も行っているものを海上交通センターといいます。

 

東京湾海上交通センター運用卓

 

潮流信号所

 狭い海狭では、早い潮の流れがおこります。
 この潮の流れは、船の操縦に大きな影響をあたえます。潮に流されて浅瀬に乗り上げたり、衝突する船もあります。潮の流れに合あった安全な操縦のため、潮の流れの状況を示すのが潮流信号所です。
 ここでは潮流の速さや方向、それにこれから流れがだんだん強くなるか弱くなるかも示しています。
 関門海峡や瀬戸内海の来島海峡で写真のような電光表示じ板を見ることができます。また、無線放送でも聞くことができます。

 

火ノ山下潮流信号所(山口県・関門海峡)

写真中央左よりに「E」の文字が見え、東向きの潮流を示しています。

TOP